iTopは、社内の問い合わせ対応とIT資産・構成情報の管理をつなげる、オープンソースのITSMツールです。ITSMとは、社内ITを安定して提供するために、問い合わせ、障害、変更、資産などを一連の業務として管理する考え方を指します。
中心にあるのはCMDBです。CMDBは、端末やサーバー、システムなどの構成情報と、それらの関係を記録するデータベースを指します。iTopでは、この情報をサービスデスクのチケットと結び付けて扱えます。問い合わせ窓口だけでなく、影響範囲の確認や変更管理までまとめたい組織が検討しやすい製品です。
iTopが扱う範囲は、サービスデスクのチケットだけではありません。インシデント、サービスリクエスト、問題、変更、リリースといった業務を、サービスカタログ、SLA、契約、資産、CMDBと関連付けて管理できます。
iTopには、オープンソースのCommunityを自社環境へ導入する方法があります。必要に応じて、パブリッシャーであるCombodoの商用パッケージやSaaSも選べます。
この違いは、単なる設置場所の違いではありません。Communityをセルフホストする場合、サーバーの用意、更新、バックアップ、追加プラグイン、サポート、運用担当者の作業を自社側で考える必要があります。商用パッケージやSaaSでは、支援の内容やサービス水準を契約時に確認します。
そのため、選定時は次の2点を分けて考えることが大切です。
iTopのService Managementでは、SLA、契約、チケット管理を関連付けて運用できます。インシデントはITサービスの障害や品質低下への対応、サービスリクエストはアカウント発行や機器申請など、利用者からの依頼への対応です。
SLAは、対応時間などのサービス水準を管理するための取り決めです。チケットとSLA、契約をつなげることで、依頼を記録するだけでなく、どの条件で対応する案件なのかを管理しやすくなります。
利用者向けポータル、サービスカタログ、メールによるチケット受付、通知も用意されています。たとえば、利用者がカタログから申請し、担当者がチケットとして処理し、進捗を通知する、という流れを一つの仕組みにまとめられます。
iTopは、リクエストとインシデントに加えて、問題管理、変更管理、リリース管理の領域も扱います。繰り返す障害の原因を問題として追い、修正に伴う変更を管理するといった流れを、一連のITILプロセスとして組み立てられます。
ただし、高度なプロセスはAtelierやForgeで拡張する位置付けです。必要な承認の段階や変更手順がCommunityで足りるのか、商用パッケージが必要なのかを、導入前に分けて確認する必要があります。
iTopのCMDBは構成を調整でき、データ同期、影響分析、監査、資産管理に対応します。たとえば、障害が起きた機器と、それに関係するシステムやサービスを記録しておけば、チケットを起点に影響を確認する運用が考えられます。
一方で、CMDBは導入するだけで情報が整うものではありません。何を登録し、誰が更新し、どのデータを同期するのかは、自社の管理対象に合わせて決める必要があります。iTopが合うかどうかを判断するときは、チケット機能だけでなく、構成情報を継続して管理する体制も含めて考えることが重要です。
承認、通知、担当者への自動割り当て、チケットの自動クローズなど、日常の運用を支える機能があります。ただし、利用できる範囲にはパッケージによる違いがあります。
自動化を重視する場合は、「自動化機能があるかどうか」だけで判断せず、自社で自動化したい作業を先に具体化すると確認しやすくなります。たとえば、申請時の承認、条件に応じた担当者の割り当て、解決後のクローズのうち、どこまで必要かを整理して各パッケージと照らします。
運用状況の把握には、ダッシュボード、SLA計算、アンケートなどを利用できます。ここにもパッケージによる差があるため、必要な指標や報告方法を決めたうえで確認するのが確実です。
外部システムとの接続にはREST/JSON APIが用意され、iTop内のオブジェクトを取得、作成、更新、削除できます。実際に連携するときは、公式の認証方式や接続先の条件に沿った設計が必要です。
商用サブスクリプションには、サポート、アップグレード支援、Designer、トレーニングなどが含まれます。コンサルティングは別のサービスです。自社だけで設計・運用するのか、導入や更新の支援を求めるのかによって、選ぶ契約が変わります。
料金はグローバル向けの表示です。Communityはオープンソース版のソフトウェアを利用する入口で、Atelier、Forge、SaaSは個別の問い合わせが必要です。
| プラン | 課金単位 | 月額 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Community | instance | 0 EUR | open-source Community editionのsoftware利用入口。hosting・operation・supportは別 |
| Atelier / Forge / SaaS | custom_quote | 要問い合わせ | commercial subscriptionとSaaSの固定公開額は掲載されず、support・Designer・service levelをsalesで確定する |
注意
2026年7月21日の確認時点では、日本向けの固定された円価格は確認されていません。表はグローバル向け情報であり、日本での販売可否を示すものではありません。契約する市場、機能範囲、サポート、サービス水準を販売窓口で確認してください。
Communityの「0 EUR」は、ソフトウェアの利用入口を示す金額です。セルフホストでは、ホスティング、更新、バックアップ、プラグインの導入・保守、サポート、運用担当者の人件費が別に発生し得ます。総費用を0円として比較せず、必要な運用を含めて見積もることが大切です。
iTopは、問い合わせ管理とCMDBを別々に扱うのではなく、資産や構成情報を軸にITサービス管理を組み立てたい組織の候補です。オープンソース版を自社で運用する選択肢を持ちつつ、必要になった段階で商用支援やSaaSも検討できます。
選定では、機能の多さだけでなく、どこまでを自社で管理するかが重要です。Communityを選ぶなら運用の責任を担えるか、商用パッケージやSaaSを選ぶなら必要な機能と支援が契約に含まれるかを確認します。とくに、承認や自動割り当て、高度なプロセス、レポートについては、パッケージ差を見落とさないようにします。
Q.iTopは無料で使える?
A.Communityのソフトウェア利用入口は、グローバル向け表示で0 EURです。ただし、セルフホストに必要な環境、更新、バックアップ、プラグイン、サポート、運用人員の費用は別に考える必要があります。
Q.iTopはクラウドで利用できる?
A.Communityをセルフホストする方法に加えて、SaaSも提供されています。SaaSの料金は要問い合わせで、サービス水準やサポートを契約時に確認します。
Q.問い合わせ管理だけに使える?
A.インシデントやサービスリクエストのチケット管理に対応しています。ただし、iTopの特徴はCMDB、契約、SLA、問題管理、変更管理などを関連付けられる点にあります。自社が必要とする範囲と、選ぶパッケージの機能を照らして判断してください。
確認日: 2026-07-21(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
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